『すべてがEになる』が電子書籍化

 理系作家に括られるだけあって森博嗣の書籍は比較的早い段階から電子書籍化されていたけれど、気軽に読めてそのうえボリュームのあるEシリーズはなぜかラインナップからはずれていた。「この分厚いエッセイこそ電子書籍で読むべきなのに、幻冬舎はよ」とずっと思っていたところ、今月12日にようやくKindleストアに並ぶことがわかった。『すべてがEになる』をはじめ、『毎日は笑わない工学博士たち』『封印サイトは詩的私的手記』『ウェブ日記レプリカの使途』『数奇にして有限の良い週末を』のシリーズ全作品が一斉に購入できる。 

すべてがEになる I Say Essay Everyday

すべてがEになる I Say Essay Everyday

 

  勘違いしている人もいるかもしれないので念のため書いておくと、『すべてがEになる』は現在放送しているドラマ『すべてがFになる』とはまったく無関係である。そもそも小説ですらない。このEシリーズは森博嗣が自分のサイトで無料で公開していたウェブ日記である。ブログもまだ普及していない時代に、毎日せっせと手動で更新していたエッセイだ。森博嗣の日々の行動や思考のすべてがここに載っている。

 取材旅行などの特殊事情をのぞけば毎日、それも日に数回更新があったので、ページにアクセスするたびにワクワクしたものだ。クイズやアンケートにもリアルタイムで参加できたし、森博嗣本人とも何度か直接メールを交わすことができた。楽しい日々だった。

 記念すべきEシリーズ第一弾『すべてがEになる』が書籍化されたのは2000年1月。当時、名古屋に住んでいた自分はママチャリをフェリーに乗せて沖縄へ来ていた。自転車での本島一周旅行の真っ最中だったのだ。その道中で天アンカットの『すべてがEになる』を購入し、行く先々で暇を見つけては読みふけっていた。もう14年以上まえの話だ。当時はまさか沖縄に移住するとは夢にも思っていなかったけど、いまだに『すべE』は自分と沖縄をつなぐアイテムになっている。

 というわけで、懐かしさも相俟ってシリーズ5作全部を速攻で予約した。次は、森博嗣の作品の中でいちばん費用対効果が高いと思っている『浮遊研究室』シリーズの電子書籍化が待たれるところ。メディアファクトリーはよ。 

森博嗣の浮遊研究室 MORI Hiroshi's Floating Laboratory (ダ・ヴィンチ・ブックス)

森博嗣の浮遊研究室 MORI Hiroshi's Floating Laboratory (ダ・ヴィンチ・ブックス)