MDノートが最強の日記帳である理由
万年筆を毎日義務的に使いたいという動機から、手書きで日記をつけはじめたのが去年の秋。当初はどのノートに書き綴っていこうか迷ったが、紆余曲折のすえ、MDノート<A5>方眼タイプに落ち着いた。いや、落ち着いたのではなく、行き着いたといったほうが正しいかもしれない。
数あるノートの中からMDノートを選んだ理由は、当然ながら万年筆の筆跡が映えるという点が大きい。いくら良い万年筆・良いインクを使っていても、それを受け止める紙自体の質が低ければ意味がない。筆・墨・紙が三位一体となってはじめて心地良い書き味は得られる。また、使われているMDペーパーは文字が多少細く出る傾向があり、5mm方眼とはいえ中字までの万年筆であればマスの中に漢字を書くことが十分可能である。
外観がうるさくないという点も良い。無印良品のノートをさらに浄化したかのような真っさらな外観は、決してノートの中身に干渉することはなく、どんな色にも染め上げることができる。上質ノートは他にも数あれど、ことシンプルという点ではMDノートに勝るものはないだろう。
方眼にも特徴があり、よく見るとマス目の上部分がわずかに途切れている。細かいことだが、このおかげで文字に多少の解放感を与えることができ、文章の視認性が向上している。もっともこれは横書きで書く場合の話であって、ノートを縦書きで使いたい場合にはデメリットになってしまうかもしれない。
実はMDノートには日記に特化したMDノートダイアリーという姉妹品もあるのだが、それにも関わらず自分は普通のMDノートを愛用している。なぜかと言うと、自分の場合は毎日書く量が一定ではないからだ。三行で済む日もあれば、ページをまたいで長々と綴る日もある。また、まったく書かない日もあるだろう。MDノートダイアリーはある程度1日の書く範囲が定められているので窮屈だし、空白で済ませてしまうのももったいない。また、元来字が小さい自分にとってはMDノートダイアリーの7mm横罫は大きすぎるというのもある。見た目がスカスカになってしまうし、かといって字を大きくすると文字数が少なくなってしまう。
MDノートダイアリーにはほぼ日手帳のような1日1ページタイプもあって、こちらは基本無地なのだが、バーチカルスケジュールがあったりして日記というよりは手帳向きな感じ。書きたいときに書きたいことを書きたいだけ書くがモットーの自分は間違いなくこうしたタイプの日記帳は間違いなく持て余してしまうことだろう。「余白には理由がある」と謳ってはいるが、その余白を埋めることを厭わない人以外には扱いにくい代物ではないかと思う。
MDノートには専用のカバーが用意されている点も大きい。定番のビニールカバーに加え、上質な「コルドバ」を使った紙カバー、そして使い込むほどに味が出るゴートヌメ革カバーの3種類があるが、おすすめは比較的リーズナブルな紙カバーだ。革を意識しているだけあって手触りも質感も上等で、値段分の価値はあると思う。
大事な思い出を綴る日記は、やはりきちんと保護しておきたいものである。