スーパーマリオの教訓
初代スーパーマリオブラザーズのフィールドステージは、最後に階段を登り、ポールに飛びつくことでクリアとなる。言い換えれば、階段が見えてこればもうゴールは目の前ということだ。
しかし、序盤では何の変哲もなかった階段も、ステージが進んでいくうちにノコノコやパタパタなどの敵キャラが配置されたり、落とし穴が設置されるなどしてプレイヤーに牙をむくようになる。マリオを陥れる最後の砦だ。
中でも終盤8-3の階段は凶悪なことで有名で、ここで落ちたことがないというプレイヤーはいないのではないだろうか。
ご覧のとおり、空中に浮かぶ足場ブロックはわずか5つだけ。一歩でも足を踏み外したらアウトだ。しかし、実はプレイヤーはここに至るまでに同じ状況を経験している。それが、少しまえの8-1の階段だ。
こちらも状況的には前述の8-3の階段と相違ない。しかし、ここで穴に落ちてしまうプレイヤーはそれほど多くはないと思われる。自分自身もここで落ちた記憶はほとんどない。
8-3と8-1の階段の構成の違いは、単純に見た目の怖ろしさしかない。プレイで関係するのはどちらも同じ5ブロックだけ。しかし、それらを支えるブロックや地面がないというだけで、とたんに足もとがおぼつかなくなる(この場合は手もとだが)。足場以外のブロックが直接プレイに影響を及ぼすことはないというのに。
もちろん8-3の致死率が高いのは、単純にステージ途中の難易度も影響があるだろう。8-3は強敵ハンマーブロスのオンパレードで、その難しさはゲーム中1番といっても過言ではない。それらの難関をかいくぐってきた疲労や安堵感が油断を誘い、致死率を高めている可能性はもちろんあると思う。
しかし、それでもやはり見た目の虚仮威しが最大の要因になっているのは否定できないのではないだろうか。
世の中、こういうことはたくさんある。実質は同じなのに、見た目にだまされて必要以上に怯んでしまうということが。
資格試験の問題もそう。問われていることは基本的なことなのに、巧みに張りめぐらされた枝葉末節に気を取られ、本質を見失い、誤答してしまう。
何が問題なのか、外観にとらわれずに実質で判断できるようになりたい。